lapinchicの日記

色々思うままに書いていきます。

下流の宴

下流の宴 (文春文庫)

下流の宴 (文春文庫)

  • 作者:林 真理子
  • 発売日: 2013/01/04
  • メディア: 文庫
 

 

林真理子は嫌いだが、筋書きが面白そうなので読んでみた。読み終わったが、面白かった。
俗な心情を書かせると上手い。ネットカフェ、きれいな植物系男子で欲を持たない、車や金に興味がない怒り反抗のない若者、裏バイト、派遣社員外資のディーラー、どこかで見た様な最近のキーワードの寄せ集めで出来たような内容だが、上手に料理して、さすが直木賞作家の実力を感じさせる。
     


新しい価値観と古い価値観(学歴信仰、バブリーな価値観、昭和的上昇欲、医者信仰)と上手くミックスしながら、特に結論めいたところに終着はしないまでも、最後まで面白い。
文学的な小難しい表現とかは一切ないので、エピソードを追い続けるだけで、一気に読み終えることが出来た。

ドラマ版も評判がいいので、読み終わったあと間髪入れずレンタルで一気に観た。小説もきちんと押さえながら、かつ小説の設定として弱い部分を上手くアレンジし(玉緒のショップの常連客の恋人経由で進学塾を由美子の幼馴染の進学塾へする、弟が中国人の女の子に惚れて保険証犯罪のエピを腹違いの弟のためなど)、なおかつオリジナルで作った要素も深みあって(原作では影薄いお父さんがリストラっぽい窓際扱いへ、由美子と島田のエピや由美子の気づきなど)、キャスティングもいいし、黒木瞳の意外な嫌な女役もオーバーアクションで頑張っていて面白く、高評価もなるほどという出来だった。

さて本の感想に戻る。面白かったが、読んで少したった感想としては、やはり時代遅れな古い価値観の作品というする。
加奈なんかはまるっきりバブル期の女の子だし、由美子のモーレツな教育熱心で過干渉も古い感じがする。確かに翔が無気力になる必然性を感じるが、親が由美子のようでなくても最近の子は翔みたいな子が多い気がするので、親のせいではない、時代が若者に絶望させる力のほうが強い気がした。

 

下流の宴 DVD-BOX [DVD]

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  • 発売日: 2011/12/14
  • メディア: DVD