lapinchicの日記

色々思うままに書いていきます。

HUNTER×HUNTER  現行32巻までの感想

HUNTER X HUNTER 1 (ジャンプコミックス)

HUNTER X HUNTER 1 (ジャンプコミックス)

  • 作者:冨樫 義博
  • 発売日: 1998/06/04
  • メディア: コミック
 

 未完のものの感想は通常しないのだけれど、この作品は休載が多く、終了するかどうか不明の為、途中だけど書く。

連載当初から新刊出るたびコミックスを買って読み続けていた32巻まで32巻までHUNTER×HUNTER

始めは順調に連載していたけれど、途中から休載が多くなり、続きが読めないストレスがたまり、キメラ=アント編に入った頃にもうHUNTER×HUNTERを読むのはやめようとコミックス全巻を売却。その後、忘れて生きていたのですが・・・。         


うつろな瞳で巨大化したゴンの姿があまりにインパクトで、「何が起きた??」と気になり、すっかり内容は忘れていた為、超特急で、全巻ナナメ読み。

爆速のナナメ読みの為、細かく読んではいない上での感想ですが、結果からいって、くやしいけど、続きを読んでよかったです!

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ひさびさに読んで、やはり面白い作品だと改めて思いました。導入部は比較的明るく読みやすく、どんどん読み進めていけます。
念バトルが出てきてから説明で複雑になり、考えないと読めなくなってきましたが、ヨークシン辺りから重たい雰囲気になり、GIで少しリラックス、キメラアントでグロ重く・・。

キメラ=アント編は出だしが、グロ重くて不快なスタートだったのですが、まさかああいう風に感動する展開になるとは思いませんでした。かなり号泣しました。ひさびさに本気で感動しましたね。とびとびで連載して、よくあそこまで持っていけたものです。

子供を容赦なく食っちゃったり、生理的にトラウマになりそうな残酷描写もありますが、グロマニア、救いのない冷徹な話ではなく、ジャンプのテーマ 「友情・努力・勝利」という規定路線はしっかり守っており、根底に流れるテーマはヒューマニズムにあふれた温かいものがあります。

キメラ=アント編は「このエピソード何か前にもあった気がする・・」など、読みながらやもやと頭に浮かんでくるものがあったのですが、作品は違えど「幽遊」の頃と同じ事を主張している気がします。

「幽遊」の仙水も魔界よりも残酷な人間に嫌気が差したように、主として人間の残酷な性質は歴史からも伺えるし、日々の残酷なニュースからも分かるように現実にあります。

蟻編でもメルエムが言う「右では子供が飢えて死に左では何もしないクズが全てを持っている」という魅力や能力もない権力者がのさばる社会、ネテロが言う「人間の底すらない悪意」による核兵器の存在など、人を傷つける為、壊す為の道具まで国家が所有するほどの悪意も夢の世界のお話ではありません。

そしてまた、ゴンがいう「仲間のために泣けるんだね 血も涙もない連中だと思ってた だったら なんでその気持ちをほんの少し… ほんの少しでいいからお前らが殺した人たちになんで分けてやれなかったんだ!!!」という旅団に向けての言葉やカイトを惨殺したピトーがコムギを助ける場面に遭遇した時の「ずるいよ!なんでそいつばっかり!!!カイトにはあんな酷いことしたくせに!!!」という言葉などからも分かる通り、人は戦争、暴力など争わずにはいられない性質や残酷、残虐な面を持つ一方で、慈悲や愛を持っていて、同じ人間の中に両方の性質が持っていることもおかしくないことなのです。
最後感動的な蟻編のラストを飾ったメルエムも、子供でも容赦なく食べてしまう残酷な生き物でした。

蟻は滅ぼすべきだったのか、人間の残酷さや社会や戦争についてとか大きい話は置いておいて、コムギが「こんなに幸せでいいんでしょうか」と言うように、死に行くメルエムとコムギが本当に幸せそうなことについて書きたいと思います。

メルエムは種として滅ぼされようとしているのに、コムギとの最後の時間は「この瞬間のために生まれてきたのだ…!」と思ってしまうくらい幸福だったのでしょう。

二人が手に入れたものは、月並みですが、「」と呼ばれるものです。
二人をみていると、愛されることと愛することと両方あって、「愛」って手に入るんだろうなと思います。

愛は強いです。死も社会も、なんもかも通り越しています。外野の大人の事情なんかどうでもいいくらい、人を幸福にします。ここに幸福に生きるルールをみたような気がします。
また蟻の護衛軍3匹も、人間を惨殺する残酷な性質もありましたが、忠義のある献身的な部下でした。
プフ、ユピーが弱った王に自分を食べさせる場面も、「このうえない至高、極上の喜び」と、とても幸せそうでしたね。これも二人が出会った愛です。

メルエムがパームからコムギの場所を聞き、コムギを発見した時に笑うシーンが好きです。例えば子供が病気と聞きつけて、会社からすっとんでかけつけて、すやすや寝てるのをみてホッとするような、そういう場面でしたよね。

家族いる人なんかはホントそうだと思うのだけど、守りたい家族、心の支えになる恋人がいる人は、愛をみな心に所有して生きていると思います。その愛すべきものが傷つけられた時に起きる憎しみからも、いさかいや争いは生まれます。

愛と争いは表裏一体というか、とても難しいものですよね。例えば、「蟻たちは種族の本能に従って敵を排除しただけだよね 憎しみを持ってピトーを殺したゴンさんの方が酷い」とこんなタイトルのスレッドもあるように、ゴンのピトーへの攻撃は私怨なんですよね。

そして、愛の手に入らない、愛のない人生も世の中沢山いるんです。悲しいけど、わたしもそうです。
だから、今回はHUNTER×HUNTER を読んで、メルエムとコムギを本当にいいな~、うらやましいなーと思いました。わたしも生きている間に愛を手に入れることが出来るのだろうか。

メルエムが蟻という異形の姿で、コムギはいつも鼻をたらした女の子で、美醜と愛は相関がないという点もポイント。
今回の蟻編では、人の子の親になった作者ならではという深さを感じるところがありました。

主人公と関係ない話の感想ばかりになってしまいましが、キルアの傷ついたゴンを絶対直すと動いたり、守ろうとするのも愛です。友情も愛の一つです。あれ、これも主役じゃないね。ゴンの愛は・・。

メルエムが絶対的な力を持って生まれてきたけれど、それより欲したのは愛。キルアが暗殺一家のエリートとして卓越した才能を持って生まれても欲しかったのは友達。他者を求める気持ちの重さ、大きさを改めて感じます。

この後、まだまだ続き、ゴンは目標だった父と会い、キルアも妹を守るというやりたいことを見つけます。絵もこれまでになくそうとう荒れた回もあり、急速にフラグを回収しだし、完結か?と思わせる展開に見えましたが、暗黒大陸編と新たな章に突入し、長期休業中らしい・・。

あと回収していない気になるフラグとして、蟻編で出番ナシのせいですっかり弱いキャラに感じるヒソカが成長したゴン達など目をつけてたキャラを狩るのかとか、団長の除念の件とか、紹介だけで謎な王ジャイロとかもありますが、父親探しやキルアと実家の件も大分片付きましたし、このまま終わっても、ひとまず問題ない状態ではあります。
暗黒大陸編など、続きも楽しめるものが待っているといいですが。気長に考えるしかなさそう。

HUNTER×HUNTER の感想などを読みたい時に行くサイト◆
ハンターハンターの考察サイト - Huncyclopedia(ハンサイクロペディア)
HUNTER×速報 : ハンターハンター速報 HUNTER × HUNTER : 超マンガ速報


メルエムとは何だったのか~生きていることを照らす光 浅葉圭一 冨樫義博作品の批評