lapinchicの日記

色々思うままに書いていきます。

俺物語

 

=後世に残したい少女マンガ100選=

映画化、アニメ化もされた別マの冒険作、「俺物語」が、足掛け4年半、今年の夏に連載終了。コミックスは13巻で終わりました。
面白い作品なのですが、10巻くらいで飽きてきてた為、もっとダラダラ続くのかと思っていたらあっさり完結してくれたので、ホッとしました。
      

作者のアルコはすでに「ヤスコとケンジ」でドラマ化され、メディア化は初ではないので、それなりに知名度もあったかもしれませんし、ヤスコとケンジ別マにしてはヤンキー臭コミカルな感じで異質ですが、絵柄も力強くゴツイ主人公を投入した今作で、変わり少女漫画家としての地位を確立したのではないかと思います。

それも近年の読み切り、「終電車」の1エピソードから、アルコの資質に目を付けた、先輩漫画家、河原 和音による手腕が大きい。この作品で原作とはいう立場ですが、自身の作品「青空エール」が映画化されるなど、本職の漫画家としても好調のようです。


原作者曰く、猛男はブサイクのつもりはない、少女漫画の枠にとらわれない男にモテる男を書きたかったとのことですが、イケメンでもなく、身長2mもある異形、ゴツいキャラであることは間違いないわけで、このようなキャラが恋をした場合、男性漫画だったらみじめで悲惨な思い、カッコ悪い地獄三昧の報われないエピソードが続くものですが、さすが王道少女漫画の別マ、新しいタイプのカッコいい男性像を描きたかったというこの漫画の目的がごく、今時古臭いばかりの好青年、猛男押しの好エピソードが続きます。

この漫画の甘さ、ゆるさは作者の猛男へのあふれんばあかりの愛のせいと思われますが、それゆえにマンネリ化しやすく、早くに失速してしまった要因かと思われるのですが、少女漫画畑で育った私としてはこの暖かい視点、ゆるさも新鮮で好きです。
ただ、面白そうな男性でも読める漫画と思って、手に取った男性読者にとっては、男の性を女の作者が描くな!といわんばかりにイラつかせるかもしれないとは思いました。


10巻後パティシエ後は猛男の煩悩エピ、スナに目をつける男の転校生エピ、大和スペイン移住エピと続きますが、どれも面白い!!ということはなく(特に転校生エピはひどい)、後半マンネリゆえの盛下がりと失速感あり、トータルでの完成度には疑問がありますが、連載1年目に講談社漫画賞 少女部門受賞、連載終了年の今年に小学館漫画賞 少女向け部門を受賞(なぜか他社ばかり・・)した実力、非常に新鮮な立ち位置ながらも、ちゃんと読むと伝統の少女漫画の範疇に収まっているバランス感、ひさびさに私が新刊で出る度、ガシガシ買うほど前半は夢中で読んだくらい、勢いと面白さがあった漫画ということで、手前勝手な企画ではあるものの、のはら選出「後世に残したい少女マンガ100選」に認定したいと思います。

2巻巻末のインタビューで、アルコ先生が原作者に希望することとして、スナの彼女、どんな恋をするのか気になる~と書いてあるのに、結局、かなわず終わってしまったことだけ残念です。スナはいいやつだけど、女性への関心の薄さが異常。隠れホモ疑惑を感じてしまうくらい。番外編、後日談で、それだけ書いて欲しいですわ。読みたい~。ぜひお願いします!

そして作画のアルコ、絵師タイプではないので、この次はオリジナルになると思いますが、次回作がどんなものになるのか、今から楽しみです。