lapinchicの日記

色々思うままに書いていきます。

いつも上天気 聖千秋

=後世に残したい少女マンガ100選=

地味どころだが、忘れちゃならない傑作漫画がこれだ。飽きるくらい読んだが、久々の再読もやっぱり面白かった。
この作品前後の聖千秋の作品は傑作揃いで、「君は僕の太陽だ」や「すすきのみみずく」辺りもすごく好きだが、やはりこれが一番好きだ。            

涙腺うるうるどころが多数な漫画で、明るいようで実は根暗、家庭環境が複雑でアダルトチルドレンな諸口宝と、子供の頃から彼女を思い続ける音楽家として才能高い潮崎君の子供の頃から大人になって結婚するまでの、長い間に渡る波瀾万丈なラブストーリーを3巻で無駄なく凝縮した、類を見ない高い完成度を誇る作品だと思う。

最近コミックの実写映画化が増え、結構クオリティの高い作品も多くなってきたけど、わたしが映画化するならこの漫画だなと思うくらい、ドラマとしてよく出来ています。

あらすじは、売れない画家の父と人気作家の母は互いに不仲で、父はいつも家を離れて暮らし、父は金の無心にだけ現れるような状態。母はいつも不機嫌で、宝は母に愛されるためにやりたくない音楽学校に通い続ける。
おばあちゃんの口癖で、この家系は男運が悪い、男を不幸にする家系というのが呪縛となり、宝は、潮崎君に惹かれる気持ちはいつも後ろに隠し、スケープゴートなごとく、いつも違う男のことを好きと思うようにしていた。
宝がやっと自分の気持ちを認め、潮崎君の思いが実るも、その直後、宝の為にしたアルバイトをしたせいで、車の事故に遭い、命の危機は脱したものの音楽家として大事な手を破損してしまう。
宝は自分の男を不幸にする運命のせいと思い、潮崎君と別れる。その後、父の気持ち、母の想いなどがぶつかる色々な出来事をきっかけに後悔したくないと潮崎君のもとへ飛び込む。
最後、宝が呪縛を克服し、子沢山でかつ彼が早死にしなかったという、ハッピーエンドが本当にうれしくなる。

ほぼ、あらすじはみな書いてしまったけど、それを知って読んだとしても絶対感動できるし、楽しめる漫画なのは自信あり。すごいいいから、まず読んでみて!と勧めたくなる漫画です。
タイトルは、ジーン・ケリーミュージカル映画からのようで、作中にも引用している映画のセリフ、「自分を好きになったのは 彼女が僕を好きだからさ」はとても素敵。そんな風に思えることに出会えたらいいな。映画も観たくなりました。
(DVD化はしていないそうで、鑑賞するのは難しそうです。)

 
(残念ながら、文庫版ともに廃盤。)