lapinchicの日記

色々思うままに書いていきます。

名前をなくした女神

 

名前をなくした女神 DVD-BOX

名前をなくした女神 DVD-BOX

  • 発売日: 2011/09/21
  • メディア: DVD
 

 私とは一生縁がないママ友社会ですが、現役の子育て中の友達は怖くて見られないと言っていました。
ママ友といっても色んなケースがあるだろうし、ひとくくりに出来ない世界と思いますが、その1例として、このドラマを鑑賞させて頂きました。

あまりにもご都合主義過ぎる偶然の連発が起こること以外は、登場人物を丁寧に掘り下げ、感情がよく伝わるいいドラマでした。話を回すための安っぽい展開さえなければ、パーフェクトだったかもしれません。

杏演じる主人公、秋山侑子。天然の大らかさで、裏のない性格はよいのだけど、時にかなり無神経。
彼女が受けるトラブルの大半は、嫉妬に起因するものであり、それを誘発する出来事が無理やりすぎる感も。


    • 子供を読者モデルにしようと、大金つぎ込み頑張っている親子をよそに、本人の知らないところで、街中で親子スナップを勝手に撮られ、雑誌で大きく取り上げられている。

    • お受験に興味はない、のびのび主義だったが、いざ鞍替えし、お受験にチャレンジしたら、子供は抜群に優秀。

  • お仕事は事務処理能力抜群、ほか住宅関係の職業経験を活かして、ドールハウスで才能発揮。

などの展開の際には、テンション下がりました。

基本このドラマ、あまりにも都合いいタイミングで、それってある~??って、出来事が起こり話が展開するのですが、

例えば、

    • お金に困った倉科カナがキャバクラで働き始めると、その常連客として彼女に付くのがママ友、りょうの旦那。

    • 精神的に苦しいことがある時にほんのり淡い恋のように支えとなった幼稚園教諭、萩原聖人木村佳乃のたった数回の逢瀬のうち、唯一気持ちを表した手を握るところを、偶然ばっちり倉科カナが目撃する。

  • 旦那の会社でのセクハラに悩む尾野真知子が杏に相談した後すぐ幼稚園中にどこかからそのことが漏れ、その話をしているど真ん中で通りがかり、しかも杏が漏らしたかのように誤解されるシチュエーションが生まれる。
 
などなど、ほか、多分見直して数えると限りないほどあると思う。
まあ展開にドン引きしながらも、母親ひとりひとりを人として掘り下げ、家庭や人物は丁寧に描いているので、ただの悪玉がいるとか、同調圧力の世界ということでのママ友社会を感じるというよりは、親も一人の人間なんだ、人間同士の関わりなんだと感じるようなドラマになっていると思う。その点はよく出来ていて、面白かったと思います。

オノマチ高橋モラハラ夫婦や、木村佳乃セレブ夫婦、倉科ヤンキートラック夫婦など、離婚してもおかしくない火種を抱えている夫婦でしたが、メイン夫婦で壊れてしまったのは、意外にもりょう夫妻でしたね。
旦那さんいい人だったのに、夫が妻の力を借りないで自分の将来を考えて計画していた料理店の計画を勝手に断って潰したり、夫が子供や妻を思いやって歩み寄っても「離婚するだから!」とかっこつけてののしったり、後半怒涛のようにりょうが旦那をたてない年上妻の悪い面をいかんなく発揮する展開は悲しかったですね。
ずっと素敵なキャラだったのに、友人のお受験邪魔したりとか、仕事に嫉妬したりとか、あんまりにもサイコさんへの変貌ぶりに今後の人生が心配になるレベル。母の歪みに心を痛める長男の叫びに胸が苦しくなりましたよ。

このドラマ、子供たちがみんなかわいそうなんですよ。
親の無神経のあおりでいじめにあう主人公の子供、健太。教育ママのプレッシャーに苦しむ彩香。親の不仲に泣く爽。夜中放置される羅羅。母の心の苦しみに胸を痛める空斗。
子供が自分の気持ちを叫ぶシーンや苦しむシーンで、ちょっとスローになる演出が効いていて、すごいのですよ。

親はなんだかなと思う点もあるけれど、特に嫌悪し悪玉に感じるキャラがいないのは、弱さや苦しさや、良いところをきちんと描いているからだと思います。
特に、かなり性格の悪い行動を繰り返す倉科カナは難しい役どころだと思うけど、ギリギリのところを上手く演じれるのはスゴいと思います。
あとは尾野真知子が大人しい役どころで意外でした。こういうキャラを演じれる幅もあったんだと私の中の評価は上昇。
幼稚園の先生、ハギ―の婚約者話は、本当だったのかなぁ~。だったら人妻にあんな思わせぶりな態度とるなって感じです。それだけが謎。