lapinchicの日記

色々思うままに書いていきます。

溺れるナイフ

 
ジュニア向けの少女漫画誌向けとは思えない、おどろおどろしい絵柄のジョージ朝倉原作のコミックの映画化。原作は途中まで読んだことがあるのだけれど、実現難しそうな原作ビジュアルに、菅田将暉君のイメージや雰囲気がぴったりで驚いた。年齢的には、少し無理があるけれど。          
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小松菜奈演じる望月夏芽は、東京で雑誌モデルをしている。親の都合で、父の故郷の田舎に引っ越すことに。田舎でも夏芽の存在は知られていて、プチ有名人状態。

そこで地元の元大地主の跡取り息子、コウと出会う。野生的できれいで、あふれんばかりの魅力のコウに惹かれていく夏芽。二人はつきあうようになるが、ストーカー的ファンに夏芽がレイプされかけ、未遂ではあるもコウが無力だったことに失望し、お互い離れていく。コウはその後、暴力的になり荒れまくり、夏芽も目立たないよに地味に暮らす日々。

夏芽はやさしくおおらかな同級生の大友と付き合いだし、癒されながらも、どこか満たされない気持ちをかかえている。そして、再び、夏芽に災厄がおとづれた時、コウは夏芽を助けられるのか?また万能感を取り戻せるのか?
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昔のこわーい監督ばっかだった時代、角川映画やATG時代だったら、原作のおどろおどろしさだけ拡大したような作品になっていたんだろうけど(相米慎二あたりが撮って)、山戸結希の作品はこれが初めてみたが、少女漫画感を残し、きれいで、きらきらしたちょうどいい軽さで、上手いこと原作のポイントを抽出していると思う。

売れっ子、菅田、小松起用のためか、日程は超タイトで、低予算らしいのだが、それを感じさせない良い出来だと思う。評判は悪いけど。

作中の写真家でかつ映画監督役の志磨遼平(元毛皮のマリー)、ほとんど演技歴ないミュージシャンの抜擢なのだけど、これはイマイチ。変質者役のほうがあってた。あと大友役のジャニーズの重岡大毅ジャニーズWEST)も、素朴で人のいい同級生役が、なかなかよかった。


よく出来ているとは思うけれど、芸達者な菅田君、小松菜奈ちゃんが、天性のカンで役の雰囲気を飲み込み、さらっと演じちゃいましたよ的な軽さの映画。観た直後の感想としては、小器用に上手くまとまっている印象。何年か後に見直したくなったら、いい映画なんだと思う。