lapinchicの日記

色々思うままに書いていきます。

同・級・生

同級生 1~最新巻(My First Big SPECIAL) [マーケットプレイス コミックセット] 

ドラマは未見。柴門ふみの漫画は他にあすなろ白書しか読んだことない。

あすなろ白書より4年前の作品のようで、この間、絵、読みやすさなど、ずいぶん向上したんだなと思う。
はっきり言って、こちらの漫画、最初のほうなどかなり絵が下手で、かつ読みづらい。読みづらさからか、感情移入出来ないままに読み進めると、段々面白くなってきた。

正直、主人公の鴨居くんは全く魅力のない男子で(劇中ではモテるが)、優柔不断どこがいいのかさっぱり分からないキャラ。ちなみはツンデレ、なんで鴨居と別れたのかはっきりせず、途中までは鴨居だけが未練たっぷり、ちなみは関心なしという感じだったのに、途中から鴨居未練キャラに変遷する心理状況がつかめない。

佐倉ちゃんはぶりっ子のしたたかキャラのように見え、結構鋭く、一途なキャラで、かわいくてモテるみたいなのに、鴨居に軽く扱われたまま、結婚するようで可哀想。
ラガーマンの堤も立派な男なのに、そんな・・ちなみが人生最後の恋でいいのかよ・・、という感じ。

それでも面白かったと思うのは、台詞のあちこちに格言が如し、ズバッと心に来るものがあったからかなぁ。

一例ですが、これは杏子(佐倉ちゃん)の台詞、
「ちなみさん、絶対鴨居さんより先に結婚したかったのよ・・、女ならそうよ、昔の男より先に結婚したいと願うものよ・・」
ほー、確かにー。ただ結婚しちゃうということは、ほぼ昔の相手とは戻れなくなるので、覚悟が入ります。
そして杏子の台詞は続く、
「だから・・、あたし、ちなみさんの直後にだけは結婚したくなかった・・、完全な敗北になるもの・・」
こういう感覚は頭いい。しっかり恋を生きている人ならではの台詞。

あともう一つ、ちなみの台詞。
「―――あたしはいつも、胸の中で鴨居くんい話しかけていた。鴨井くんおはよう。鴨居くん、朝 眠いけど頑張って起きて会社へ行きます。鴨居くん、今 地震があったわ、こわいけど辛抱します。鴨居くん、あたし もう安っぽいセックスはしません。ひとりで立ち直るから見てて・・・」
二人が分かれた原因がどうみてもちなみの心変わり(海江田にどう考えても気があったでしょう)と思うと、なんて調子のよいヤツと思ってしまうけど、こうやって心の中で語りかけたりする心境ってあるある~って思った。

そして細かいことは矛盾やら疑問やら沢山浮かんでくるものの、同級生のタイトルの意味につながる、この漫画が伝えたかったテーマが新鮮で面白かった。それは最後のほうの鴨居とちなみのベットインの場面のちなみのモノローグと作者のあとがき(上巻と下巻とあわせて)で、分かるようになっている。

ホントにふらふらふらふら行ったり来たりした後、鴨居とちなみは別の道を歩むことになるが、未練のある相手も、実際にやり直そうとすると、お互い変わってたりして、執着はあっても、当時のほどの恋心はないのに気付いたりするのかもしれない。
新しい恋は、昔の輝いていた恋を上書きして消してしまうようで抵抗する、そんな心理を描いた漫画だったように思う。
 

 

同・級・生(上) (ビッグコミックス)

同・級・生(上) (ビッグコミックス)